空気環境改善研究所が大気環境学会で研究発表|新築木造住宅のBVOCと健康リスク評価
演題― 新築木造住宅における木材由来BVOCの室内濃度実態調査とその特徴 ―
2025年9月17日(水)、名古屋大学で開催された「第66回 大気環境学会年会(The 66th Annual Meeting of Japan Society for Atmospheric Environment)」において、
空気環境改善研究所 代表理事・石坂閣啓が、以下のテーマで口頭発表を行いました。
発表タイトル:
新築木造住宅における木材由来BVOCの室内濃度実態調査とその特徴
(Takahiro Ishizaka, 一般社団法人空気環境改善研究所)
大気環境学会で久しぶり「室内環境」のセッションが復活
高気密・高断熱化が進む現代の住宅において、「室内の空気質」が健康へ与える影響がこれまで以上に重要視されています。
とりわけ新築直後の木造住宅では、木材や自然系仕上げ材から放出されるBVOC(Biogenic Volatile Organic Compounds)が、高濃度で検出されることが多くあります。
本研究では、こうした木材由来成分の室内濃度実態を明らかにするとともに、健康リスク評価や屋外由来のオゾンとの反応による二次生成物(SOA)の可能性についても検討を行いました。
発表のポイントは木材から発生する揮発性有機化合物VOCとシックハウス症候群との関係
- 室内空気中のBVOC実測値:全国の新築木造住宅において、α-ピネンおよびD-リモネンの濃度をパッシブサンプリング法(エアみる法)により測定。
- 健康リスク評価(MOE): 欧州のガイドラインを参考に、室内濃度とLOAEL(最低有害影響濃度)との比からバクロマージン(MOE)を算出。
一部の住宅では、管理上の注意が必要なレベルに達することが判明。 - SOA(二次有機エアロゾル)の生成: α-ピネンやD-リモネンが屋外からのオゾンと反応して、室内で微粒子(SOA)を生成する可能性を簡易モデルで推定。
今後の展望と空環研の取り組み
本発表では、室内空気を「化学反応が進行する空間」と捉え、自然素材住宅における健康リスクとベネフィットの両面を科学的に評価する新たな視点を提示しました。
今後は以下の取り組みを強化してまいります:
- 自然素材住宅における空気質リスクの見える化と評価指標の確立
- SOAや超微粒子を含む複合リスク評価の推進
- 施主・施工者・研究者が共有できる「空気の健康プラットフォーム」の構築
空気環境改善研究所では、今後も「健康に寄与する空気のデザイン」を目指し、研究・社会実装・啓発活動を推進してまいります。
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