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令和のシックハウス対策と新たな空気汚染の実態_室内環境学会2025参加報告

2025年の室内環境学会 学術大会に参加し、令和の空気汚染に関する発表を行いました。特に家具が空気汚染の主要因となる最新事例が注目されました。

室内環境学会2025での発表テーマ「令和の空気汚染」

シックハウスは「新しい段階」に入った

今回、私たちの研究グループでは「令和の空気汚染」というテーマでポスター発表を行いました。
主に取り上げたのは、持ち込み家具や造作家具からの空気汚染に関する問題です。

住宅の構造や仕上げ材だけでなく、

  • 引っ越し後に購入した家具

  • リフォームの際に後から設置された造作家具

  • キッチンやカウンターまわりの設備

といった「あとから入ってくるもの」が、室内空気の質に大きく影響していることが見えてきています。

アイランドカウンターの接着剤が主な汚染源となった事例

中でも特に注目されたのが、住空間の中で一番最後に設置されたアイランドカウンターの事例です。

このカウンターに使われていた接着剤の成分が、室内空気を非常に汚染していたことが、空気測定によって明らかになりました。
一見、きれいに仕上がった住まいであっても、最後に入った一箇所の家具・造作が、家全体の空気環境を大きく悪化させてしまうことがあります。

【補足】ちなみに、この住宅ではWB工法という工法が使用されており、室内の汚染ガスが効率よく壁裏に抜けていく仕組みを採用していることから、1ヶ月後には汚染空気濃度は急激に低下したことが確認されています。このように、高断熱高気密住宅では換気計画がかなり重要になっています。

高断熱・高気密住宅だからこそ一箇所の汚染源が危険

高断熱高気密住宅の空気汚染のイメージ

この事例は、シックハウス問題が「過去の問題」ではなく、新しい段階に入っていることを示しています。現代の住宅は、高断熱・高気密化が進んでいます。これは省エネや温熱環境の面では大きなメリットですが、

その一方で、

  • 換気が不十分だと汚染物質がこもりやすい

  • わずか一箇所の汚染源でも、家全体に影響しやすい

という側面があります。

私たちが行った測定では、

  • 室内全体にも有意な影響が広がる
    といった、無視できないレベルの空気汚染が確認されました。

ポスター発表の醍醐味は参加者との意見交換

今回の学会では、このような令和時代の新たな空気汚染の問題に光を当て、多くの専門家の方々と意見交換を行うことができました。ポスター発表という形式でしたが、さまざまなご質問やご指摘をいただき、今後の研究のヒントも多く得られました。

 

【まとめ】

家具などの什器や生活用品が室内空気を汚す時代に入りました。「エアみる法」によるこれまでに規制や制限を受けた化学物質の代替物質の測定と建材選定が健康な暮らしの基盤となります。

詳細なデータや考察については、改めて空間通信や研究所のホームページ等で順次公開していく予定です。

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  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の124種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

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