つぶやき

シックハウスを防ぐために大切な3つの視点 ― 空気環境・建材・防蟻処理を見直す

シックハウス 空環研 空気環境改善研究所 石坂 相談 空気の専門家

新築やリフォームの際、見落とされがちなのが「室内空気の質」です。現代の住まいでは、見えない化学物質が空気中に放出され、それが体調不良や慢性的な不快感の原因になることがあります。今回は、シックハウス症候群を防ぐために押さえておきたい3つの視点――「空気環境」「建材」「防蟻処理」について、現在の状況を踏まえて詳しく解説します。


1. 空気環境を整える

室内に滞留するホコリや化学物質は、日々の呼吸を通して体に取り込まれます。とくに密閉性の高い現代住宅では、換気が不十分になると空気が汚れやすく、慢性的な疲労感やアレルギー症状、シックハウス症候群の原因になることもあります。

24時間換気システムの設計や、通風のしやすい間取り、適切なフィルターのメンテナンスなど、空気の「流れ」と「入れ替え」を意識することが、健康的な室内環境づくりの基本です。


2. 建材選びは「代替化学物質」まで意識して

ホルムアルデヒドやトルエンなどのVOC(揮発性有機化合物)は、過去のシックハウス問題の中心でしたが、現在では規制が強化され、室内濃度も大幅に改善されています。F☆☆☆☆(フォースター)建材も標準化され、これらの物質による影響は減少しています。

しかし近年では、それらの代替として使われる新しい化学物質が、シックハウス症状を引き起こす主な原因となっているケースが増えています。たとえば、防腐・防カビ目的で使われるイソチアゾリノン系防腐剤や、新タイプの可塑剤や接着剤成分などが、目のかゆみや頭痛、倦怠感、化学物質過敏症の発症要因になることもあります。

従来の「自然素材なら安全」「F☆☆☆☆なら安心」という考え方だけでは、現代の空気リスクには対応しきれません。建材を選ぶ際には、具体的にどのような成分が使われているかを確認し、なるべく無添加・低刺激な製品を選ぶことが重要です。


3. 防蟻処理の選び方も慎重に

住宅の耐久性を保つために欠かせないのが防蟻処理。一般的には農薬系薬剤を使用した処理が行われますが、これらの薬剤は5年ごとの再処理が必要であり、微量でも揮発して室内空気に影響を与える可能性があります。

とくに化学物質に敏感な方や小さなお子さんがいるご家庭では、農薬系の防蟻処理は避けたほうが安全です。

その代替手段として注目されているのがホウ酸処理です。ホウ酸は自然界に存在し、揮発性がなく、安定した性質を持っており、長期間にわたって防蟻効果を持続させることができます。健康へのリスクが非常に低く、再処理の頻度も少ないため、安心して採用できる防蟻方法としておすすめです。


健康な住まいは「見えないもの」にこそ注意を

空気環境、建材、防蟻処理――これら3つのポイントに目を向けることで、家族の健康を守る住まいづくりが実現できます。現代のシックハウス症候群は、20年前のような単純な物質だけでは説明できません。最新の知識をもとに、成分・素材レベルで丁寧に選ぶ姿勢が、これからの家づくりには必要不可欠です。


LINE公式アカウント案内

空気に関する最新情報やお知らせを定期的に受け取りたい方は、ぜひLINE公式アカウントに登録してください。
LINE公式では、空気に関するご相談も受け付けています。気軽に登録できるので、ぜひご利用ください!

https://lin.ee/TaCKPn0

▶︎ 登録はこちら
https://line.me/R/ti/p/@153awirs

  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の124種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

-つぶやき