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シックハウスと子どものアトピー発症リスク ~エコチル調査でわかった室内環境の影響~

シックハウス 空環研 空気環境改善研究所 石坂 相談 空気の専門家

シックハウスと子どものアトピー発症リスク ~エコチル調査でわかった室内環境の影響~

子どもたちの健康を守るためには、室内環境への配慮が欠かせません。
近年の研究によると、室内で化学物質を多く浴びる状況では、お子様の肌荒れやアトピーの発症リスクが1.2倍から1.5倍に高まることが報告されています。

このデータは、「エコチル調査」と呼ばれる大規模な環境疫学調査から得られたものです。
今回はその調査内容と、リスクを減らすために私たちができることを紹介します。


エコチル調査とは

「エコチル調査」とは、子どもが生まれてから中学生くらいになるまでの期間、環境要因と健康リスクの関係を調べる日本最大級の疫学研究です。
北海道大学をはじめとした研究チームが中心となり、子どもたちの健康に影響を与える環境要因を長期的に調査しています。


アトピーリスクを高める室内環境

北海道大学の調査では、次のような室内環境がアトピー性皮膚炎のリスクを高めることが報告されています。

  • ガスストーブの使用

  • 殺虫剤の多用

  • 複合フローリングの使用

これらに共通するのは、室内に化学物質が多く発生しやすい点です。


化学物質が子どもに与える影響

これらの製品や建材からは、VOC(揮発性有機化合物)とよばれる気体成分とそれより沸点が高く埃と一緒に挙動するSVOC(準揮発性有機化合物)などの化学物質が発生することがあります。

代表的なVOCには、次のようなものがあります。

  • ホルムアルデヒド

  • トルエン

  • キシレン

これらは過去、シックハウス症候群の原因物質として大きな問題となりました。
最近では、これらの代替化学物質(メチルシクロヘキサンや酢酸ブチル、グリコールエーテル類などの水溶性の溶剤)が主に室内で検出されています。

代表的なSVOCには次のようなものがあります。

  • 可塑剤 (プラスチック柔軟剤) 例)フタル酸エステル類
  • 難燃剤 例)リン酸エステル類、臭素系難燃剤
  • 紫外線防止剤
  • 防蟻処理農薬 例)ネオニコチノイド系農薬

これらもも健康リスクとして注目されています。


今日からできるリスク対策

すべての化学物質をゼロにすることは難しいですが、次のような取り組みがリスク低減につながります。

  • 使う製品や建材を慎重に選ぶ

  • 室内の換気を意識する

  • 化学物質をできるだけ使わない暮らし方を考える

これから家を建てる方、リフォームを検討中の方は、ぜひ「化学物質を減らす意識」を持って、健康的な室内環境づくりを目指してみてください。


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  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の124種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

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