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PFAS(ピーファス)問題の光と闇

PFAS問題の光と闇

PFAS(パーフルオロアルキル化合物)は、私たちの身の回りに非常に身近な化学物質です。ここ数か月でニュースに取り上げられることも多くなってきましたが、PFASについて知っている人は少なく、多くの人がその存在すら知らないのが現状です。これらの化学物質は、フライパンのコーティングや防水スプレー、消火剤など、日常的に使われる製品と関わっています。しかし、その影響は深刻で、特に健康と環境への影響が懸念されています。

今後、水道水の基準値や環境中の濃度について基準が検討される際に、多くの方が関心を持ち、この問題に関わることが重要です。PFAS問題は今後の日本を大きく左右する問題です。その理由について詳しく見ていきましょう。

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PFASの本質や抑える特徴

基本的に、体に悪い物質は残留しやすい特性があります。例えば、静岡の工場で製造されたPFOAやPFOSは、規制されて現在は製造されていないにもかかわらず、作業員の血中にアメリカの暫定目標値の220倍の濃度で残留していました。このように、一度体内に入るとデトックスできず、長期間にわたって健康に悪影響を及ぼす可能性があります。アメリカでは血中濃度の健康管理指標として20ng/Lが設けられており、PFOAやPFOSの血中濃度は過去の摂取量を明確に示します。その一方、環境中の濃度は水位や時期により変動することが知られております。PFASの影響を調べるには調査箇所の周辺住民の血中濃度を調べることが有効です。

ここで最も重要なのは、それだけ残留性が高いという点です。

アメリカでは水道水の基準が非常に厳しくなり、4ng/Lに引き下げられました。一方、日本の暫定基準値は50ng/Lで、これはアメリカの基準に比べると緩やかです。EUも基準を厳しくする方向に進んでいますが、日本はまだその点で遅れています。今、ニュースで基準値を超過したという報道がありますが、これは10年以上前に規制された2つの物質、PFOAとPFOSだけを調べての結果です。これらの物質がまだ環境中に残っており、体内や環境からも抜けにくいのが現状です。

安定性の高いPTFE製品とPFASの違い

フッ素有機化合物であるPFASは、フライパンのコーティングなどに使用され、油や水を弾く性質があります。これらはフッ素樹脂です。PFASはフッ素有機化合物の総称であり、定義が異なります。例えば、ペットボトルは樹脂ですが、ペットボトルの原料は炭素と水素から成る有機化合物です。

今問題となっているのは、フッ素樹脂を含む製品の製造過程や撥水処理やフッ素コーティングなど副次的に発生するPFASです。したがって、フッ素コーティングのフライパンを使っているからといって、PFOAやPFOSの血中濃度が高くなるわけではありません。

実態として、PFASを取り扱う工場周辺や泡消火剤の使用があった米軍基地や自衛隊基地周辺の濃度が高いということです。これらは水や空気や土壌を汚染し、人体にも蓄積されています。

PFASの規制から見える光と闇

PFASには約1万種類もの化合物が存在し、これらも環境中に残留する可能性があります。ヨーロッパではすべてのPFASを規制しようとしていますが、日本ではまだその動きが遅れています。EUが提案した規制案に対して、日本から大量の反対コメントが寄せられており、企業の影響が懸念されています。PFASは半導体製造や日本の物づくりに必要不可欠であり、PFASの規制強化はこれらの産業の発展の足枷になる可能性があります。そのため、この問題は大きくしたくない、汚染もできるだけ知りたくないというのが闇です。

一方、光の部分もあります。日本で規制を強化することで、必然的に対策技術が強化・発展します。工場排水や排ガスからPFASが出ないような汚染除去技術や土壌改良技術が発展すれば、その技術は世界中のPFAS汚染を改善することになります。

そして高度な半導体を作成できれば、日本の発展にもつながります。半導体の製造には沢山のきれいな水が必要ですので、半導体工場は自然豊かな所に作られます。PFAS汚染を無視して環境汚染を進めれば、取り返しのつかない事態になることは、ヨーロッパやアメリカのPFAS規制強化の姿勢からも明らかです。

過去に車の排ガス規制を厳しくしたことにより、本田やトヨタの自動車がアメリカで大きく躍進した事例もあります。チャンスとピンチは隣り合わせなのです。

PFAS規制が緩くならないように、多くの人が関心を持つことが重要です。

今後、PFASの管理や規制についてパブリックコメントが募集されることがあると思います。多くの人が関心をもってこの問題に向き合っていってほしいとおもっております。もし、この記事を読んで共感した!!という方は拡散をお願いします。

この記事のURLは https://kuukanken.jp/pfas-3/


まとめ

PFASは私たちの身の回りに存在する残留性の高い化学物質です。特に残留性が高く、長期間にわたって健康への影響や環境への残留に対して無関心ではいられません。


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  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の100種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

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