PFAS

PFAS(ピーファス)とどう向き合うか

PFOSとPFOA

PFAS問題の現状とその影響

最近、PFAS(ピーファス)という言葉を耳にすることが増えました。ニュースで毎日のように取り上げられるこの物質、一体どのようなもので、どのような影響があるのでしょうか。

動画のまとめはこちら(7分)

この記事の要約

PFASはフッ素が結合した有機化合物の総称で、沖縄や浜松などの米軍や自衛隊基地周辺の河川、工場排水、また山間部に至るまでさまざまな場所から検出され、問題視されています。PFASは自然界には存在せず、非常に安定した化学物質です。非常に残留性が高く水や土壌を長期間にわたり汚染します。特に人体への影響が問題視されており、暫定目標値が定められているPFOA、PFOSは基準値を超えて検出されることが多いです。

 

目次

  • PFASとは何か?
  • 調査対象はPFOS、PFOAの2物質のみ
  • PFASの使用例とその問題点
  • PFASの環境および健康への影響
  • 現在の規制と今後の対策

PFASとは何か?

PFASはフッ素が結合した有機化合物の総称で、1万種類以上の物質が存在します。これらは自然界には存在せず、人工的に作られたものであり、非常に安定しているため、環境中で分解されにくい特性を持ちます。

調査対象はPFOS、PFOAの2物質のみ。問題の本質はこの2物質から見える!!

実際に調査対象となっているのはPFOSとPFOAの2物質のみです。これらの物質は過去に規制されており、PFOSは2009年、PFOAは2019年にPOPs条約(ストックホルム条約)で規制が開始されました。

現在でもこれらの物質が残留して検出され続けていることが問題の本質です。

たった2物質でも残留してしまうのに、数多くある代替品が今後どのように環境中や人体に残留し、どのような影響を与えるかは未知数です。新しいPFASが環境中でどのように振る舞うかについては、さらなる研究と監視が必要です。しかし、その間にも環境中へのPFASは拡散し続けています。

規制されたPFOSやPFOAは過去に泡消火剤や製品の製造過程で使用されておりましたが現在は使用されていません。

そのため、過剰に心配する必要はありませんが、一方でPFOSやPFOAの代替物質としてのPFASが様々な場所で使用されており、現在では生活に必要不可欠なものとなっています。

 

PFASの使用例とその問題点

PFOSやPFOAの代替物質としてPFASがテフロン製のフライパンや防水スプレーなどの撥水剤、工業製品の製造や加工に使われています。これらの製品は、水や油を寄せ付けない特性を持ちますが、それゆえに環境中での残留性が高いことが問題となっています。特に、井戸水や河川水では過去に排出されたPFOSとPFOAの暫定目標値を超えることが多く報告されており、その残留性の高さが伺えます。また、都市部から離れた野生生物の体内に蓄積されることも報告されており、汚染がひどいのは一部の地域ですが、低濃度の汚染は世界各地に広がっていると考えられます。

 

PFASの環境および健康への影響

PFASは非常に安定した化学物質であるため、環境中で分解されにくく、長期間残留します。そのため、北極や南極でもPFASが検出されています。また、PFOAとPFOSの影響が特に問題視されており、これらは飲料水や空気中にも含まれている可能性があります。健康への影響としては、特に長期間の暴露が懸念されています。このような影響は疫学調査の結果として報告されています。

 

現在の規制と今後の対策

現在の規制されているのはわずか3物質

PFOSは2009年、PFOAは2019年、PFHxSは2022年にPOPs条約に基づいて規制されました。POPs条約は、持続性有機汚染物質の排出を削減し、最終的には排除することを目的とした国際条約です。

 

日本国内の規制

日本でも、これらの国際的な動きに対応してPFASの規制が審議されています。欧米で規制が強まる中、日本ではそのような動きは見えてこないのが現状です。

地域 PFOSおよびPFOAの基準値 (ng/L) 備考
アメリカ 4 PFOS: 4 ng/L, PFOA: 4 ng/L
EU 100 PFOS、PFOA、PFHxSを含む20種類のPFASの合計基準値
日本 50 PFOSとPFOAの合計で50 ng/L、日本は暫定目標値

 

代替物質にはどんな特徴があるか

現在、PFOAやPFOSの使用は規制されていますが、それに代わる新しいPFASが次々と開発されており、規制が追いついていないのが現状です。分子数が多いPFASは残留しやすいため、現在では分子数が短いものが使われ始めていますが、これらも新たな問題を引き起こす可能性があります。したがって、怪しいと考えられる物質は、結果が分かる前にリスクを減らすことが重要です。

 

私たちができるのはまず知ることから

PFOAやPFOSの健康影響が分かり規制されましたが、今でも多くの場所で残留しています。一万種類を超えるPFASに対してこれまでと同様に一つ一つの物質の精密な検証を繰り返していたら、汚染を防ぐことは到底できません。

日本は過去に水俣病をはじめとする数多くの環境問題を経験しました。日本の政府が因果関係を認めるまで50年近くを要したこともあります。それらを反省せずにに同じことを繰り返していると、同じ問題が再発してしまいます。

怪しいと考えられる物質は、結果が分かる前にリスクを減らすことが大事です。

最高の健康を求める方もいれば、発がんや重大な病気が起きなければいいと考える方もいます。どのように健康リスクの基準を設けるかは個々の判断によりますが、まずは、情報を正しく知り、どのような行動をとるべきかを自分で選択する時代になりました。

 

まとめ

PFAS問題は非常に深刻であり、環境および健康への影響が懸念されています。現状の規制では対応が難しい部分も多く、今後の対策が求められます。怪しい物質は早期にリスクを減らすことが重要であり、そのためには継続的な調査と規制強化が必要です。


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  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の100種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

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