VOCとは何か?(定義・種類)

VOC(Volatile Organic Compounds)は「揮発しやすい有機化合物」の総称です。わかりやすく言うと、放っておくと自然に気体になり空気中へ拡散する化学物質のこと。いわゆる空気中の微量の汚れを構成する成分群です。
代表的な分類には、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが含まれます。
室内で多く見られるVOCは「建材、什器、生活用品」由来

室内空気の大きな発生源は建材や什器、生活用品。
これらからは、「揮発性有機化合物(VOC)」と呼ばれる化学物質が、日常的に放出されています。
つまり、建材や日用品から出る物質が、室内の空気そのものをつくっているのです。
ホルムアルデヒドやトルエンなどは20年前に対策済み

かつてはホルムアルデヒドやトルエンがよく問題になりましたが、規制や製品改良により、近年は相対的に検出頻度が下がる傾向があります。近年の室内空気の実態調査の室内濃度指針値超過率はホルムアルデヒドやトルエン、スチレン、パラジクロロベンゼンで数パーセント程とごくわずか、そのほかの室内濃度指針値物質の超過はほとんど見られません。建材や接着剤、塗料などに含まれる室内濃度指針値物質が減り対策が十分に行われていることが反映されています。
現在の主流のVOCは規制された化学物質の代替物質

近年は、かつて対策されたホルムアルデヒドやトルエンやキシレンなどの有機溶剤(油に溶けやすい溶剤)成分の代替物質が多くなる傾向があります。専門的には脂肪族・芳香族炭化水素などが主体です。詳細は以下の解説をご覧ください。また、匂いの少ない水溶性の溶剤も多く使用されるようになりました。
令和のシックハウス問題

住宅の気密性能が向上し、空気の入れ替えが以前の住宅よりも行われにくくなりました。そして室内には以前に規制された代替物質が多く使われることで、あらたなシックハウス症候群の発生が徐々に増えてきております。空環研ではこれを令和のシックハウス問題として取り上げ注意喚起を行っています。
VOCの健康への影響は【短期】と【長期】の2パターンを想定すべし
短期的影響(典型例:シックハウス症候群)

新築・リフォーム直後などに目の刺激、頭痛、めまい、倦怠感などの症状が一時的に現れることがあります。これは主に揮発性の高いVOCに起因します。
長期的影響(SVOC等の持続的汚染)

フタル酸エステル類や難燃剤などの準揮発性有機化合物(SVOC)は揮発性が低く、微量ながら長期間にわたりガス化・再付着を繰り返します。ハウスダストに捕捉されて室内に蓄積し、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー症状の悪化に関与する可能性が指摘されています。
※体調に関する判断は医療機関へご相談ください。本ページは一般的な情報提供を目的としています。
TVOC(トータルVOC)は健康影響の指標ではない?
測定方法(エアみる法 vs センサー式)
一般的な検査の限界
一般的なシックハウス検査ではごく一部の化学物質(6種類 例:ホルムアルデヒドやトルエン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン、パラジクロロベンゼン)のみを対象とするケースが多く、現在の多様な室内汚染を十分に把握できない場合があります。
エアみる法の利点

- 124種類以上の化学物質を網羅的に測定
- 自然素材・新建材・生活用品など多様な由来成分の実態把握に有効
👉 エアみるを使った空気測定(概要)
👉シックハウス対策は空気の「見える化」から|124種類の化学物質を測定する「エアみる法」とは?
センサー式の活用と注意点

センサーは変化のモニタリングには便利ですが、化学種の特定や精度面では限界があります。環境条件(例:湿度変動)で数値がぶれることもあるため、本格的な評価には化学分析を推奨します。
👉リフォーム後のシックハウス症候群?センサー測定で誤った結果に注意!
👉シックハウスとTVOC濃度の関係 数値で見る室内空気の安全性とは?
なぜ、エアみる法が必要?令和のシックハウス問題がこれまでのシックハウス問題と異なる理由
令和のシックハウス問題の大きな特徴が、高断熱高気密住宅の普及と化学物質の使用の多様化があります。
- 高断熱・高気密住宅の空気調査:換気が不足すると揮発成分が滞留しやすい
- リフォーム直後:代替化学物質の影響で一時的に濃度が上昇することがある
- 新築引き渡し前後:新築直後が最も室内濃度が高いです。その後の持ち込み家具の影響などと区別することも重要
対策と予防(換気・建材選び・自然素材):建材選びは空気選び
- 自然素材・低エミッション材を優先
- 接着剤・塗料などの副資材も低放散のものを
生活用品の見直し
- 香料・柔軟剤・消臭スプレー等の揮発・付着しやすい製品を控える/切り替える
換気・清掃
- 計画換気の設計と運用の見直し(季節・湿度条件に応じて)
- ダストコントロール(ハウスダスト対策とフィルター管理)
ご相談・お申し込み
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