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室内からよく検出される化学物質の特徴_空環研通信2024年8月

エアみる法は、愛媛大学で開発された日本唯一の方法で、室内空気中の124種類の化学物質を精密に測定できます。室内には1000種類を超える化学物質が存在するとされ、総量の測定と定性分析が重要です。エアみる法はポンプを使わずに24時間空気を吸い込み、質量分析装置で分析することで、主要な汚染物質を特定します。特に新築やリフォーム後の住宅での測定が推奨されます。さらに、ホルムアルデヒドやネオニコチノイド系農薬など、エアみる法では測定が難しい物質もあり、適切な対策が必要です。家庭の健康を守るため、耐震性、高断熱・高気密性とともに、エアみる法を活用し、室内空気の汚染状況を把握することが重要です。

エアみる法は、愛媛大学で開発された、日本で唯一、室内空気中の124種類の化学物質を測定できる方法です。室内には1000種類を超える化学物質が存在すると言われており、総量の測定と定性分析が必要です。エアみる法はその精密さから、よく検出される主要な物質を含め、多くの汚染物質を特定するのに役立ちます。家庭の健康を守るためには、この方法の活用が非常に重要です。

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空気中の化学物質、何種類測るのが正解?

令和のシックハウス対策として、空気中の室内濃度指針値物質の代替物質の測定が重要であることは、これまで何度も取り上げましたが、一体、化学物質を何種類測るのが正解なのかというのは非常に難しい問題です。一説には、室内には1000種類を超える化学物質が存在すると言われています。このような多く物質の調査は大変ですので、化学物質の全体量を調べて、特に多く検出した化学物質を調べるというやり方が最適です。その方法が「トータルVOC測定(揮発性有機化合物測定)」です。総量を調べるだけでは意味がないので、測定結果からどのような物質が含まれているかを分析します。これを「定性分析」と言います。

室内から検出されやすい化学物質はおおよそ100種類程度

室内には1000種類を超える化学物質が存在するとはいえ、厚生労働省や研究者が調査した結果によると検出されやすい化学物質はおおよそ100種類程度です。これらの情報は厚生労働省のシックハウス問題に関する検討会の資料で公開されています。

 

室内空気調査に有効なエアみる法

厚生労働省のシックハウス問題に関する検討会では、定期的に室内空気汚染の実態調査を行い、よく検出される化学物質を公開しています。よく検出される物質はリスク評価し、健康リスクの高いものは室内濃度指針値に追加されるというスキームがあります。その際の空気測定の方法がTVOC測定です。

エアみる法はその方法より簡単で、誰でも正確に空気を調べることができるように作られました。この方法は、従来のポンプを使った測定方法とは異なり、エアみる法はポンプを使わずに室内に吊るすだけで24時間の空気を吸い込みます。その後、質量分析装置という精密な分析装置によって抽出液を分析します。サンプリングは手軽に、測定は精密におこなうという手軽さと精密さが特徴です。

 

 

例えば、脂肪族単環炭化水素(石油系溶剤、灯油など)、方向族単環炭化水素(トルエン、キシレンなど)、テルペン(木材由来のアルファピネンやリモネンなど)、グリコールとグリコールエーテル(水溶性の塗料や溶剤として使用)などが一般的に検出される物質です。

エアみる法は、その精密さから、これらの主要な物質を含め、さらに多くの汚染物質を特定することができます。特に、新築住宅やリフォーム後の住宅では、建材や家具から放出される化学物質が多く含まれているため、エアみる法による測定が推奨されます。

 

センサーの測定とは全く違うエアみる法

センサーは非常に扱いやすいですが、精確測定することはできません。湿度が変化するだけで数値が大きく変化します。またどのような化学物質が含まれているかなどの情報は得られることができません。センサーは変化を知るのに優れていますが、汚染物質の特定や測定を精確に行えるものではありません。

 

初公開!!室内空気からよく検出される124種の化学物質

エアみる法で検出可能な物質は、ホームページで公開されているリストを元に確認できます。

124種類のリスト

よく検出される物質には、脂肪族単環炭化水素や方向族単環炭化水素、テルペン、グリコールとグリコールエーテルなどがあります。これらの物質の割合や特徴を理解することで、室内の汚染状況を把握し、適切な対策を講じることができます。

分析結果の見方

エアみる法で得られた分析結果は、検出された化学物質の種類とその濃度が一覧で表示されます。上位に位置する物質は、室内の空気質に大きな影響を与えている可能性が高いため、特に注意が必要です。各物質の特性については空気測定結果の報告書に記載されます。また、ご不明点はLINEでお問い合わせいただけましたら、回答させていただきます。

 

エアみる法で測定できない物質

  • 測定原理が異なる物質(ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド)

測定が難しい物質もあります。例えば、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドです。エアみる法はガスを測定しますが、これらの物質は安定な液体に変換して測定するため、異なる測定方法が必要です。ホルムアルデヒドの汚染はほとんどありませんが、心配な方はオプションで測定できます。

  • 埃につく成分(ネオニコチノイド系農薬・フタル酸エステルなど)

ネオニコチノイド系の農薬やフタル酸エステル、リン酸エステルなどの臭素系難燃剤は、アトピーや喘息の原因となることがあります。これらの成分は、長期間にわたって室内を汚染しますが、エアみる法では測定できません。エアみる法はガスのみを測定するため、ほこりに付着する成分は測定できません。

  • 濃度変化が激しいもの(柔軟剤の香り成分、抗菌成分、消臭成分)

また、柔軟剤の香りや消臭成分も測定が難しいです。エアみる法は24時間の平均濃度を測定するので、常に室内を汚染しているものの測定に向いています。柔軟剤や消臭成分は、干しているときや窓から入ってくる匂いなど、一時的に濃度が高くなるものです。このように、一瞬の濃度変動や高くなる成分は残念ながら測定できません。24時間の平均濃度にしてしまうと、濃度が低くなってしまうからです(柔軟剤付きの服がずっと部屋にある場合に、香成分が検出された事例もあります)。

このように、測定したい物質があっても測定できないものがあることを覚えておいてください。

 

耐震・断熱・エアみる法

これからの室内の健康は、国の健康基準だけでなく、各家庭が自分たちの健康基準を決めて守っていく時代になっています。工務店さんも、お客様の健康の軸がどこにあるかを確認していただきたいと思います。

その際に重要なのが、耐震性です。命に関わる問題です。次に高断熱、高気密性です。これは快適性や温熱環境に非常に有効です。そして最後にエアみる法です。室内空気の汚染状況を把握することが、家族の健康を守る上で非常に重要です。このエアみる法は、日本で唯一の最先端の方法ですので、ぜひ活用してください。

 

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  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の100種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

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