
先日、リノベーション後のマンションに引っ越された方から、シックハウス症候群の疑いでご相談を受けました。家族の中には鼻水や鼻づまり、だるさを感じる方がいたそうで、市役所に問い合わせたところ、センサーによる簡易測定でホルムアルデヒド濃度が基準値を超えているという結果が出たとのこと。ご家族は非常に不安になられていました。今回は、その対策とセンサー測定の限界についてお話します。
シックハウス症候群の疑いと空気質の問題
フルリノベーションされたマンションに引っ越したご家族から、「最近、家族の中で鼻水やだるさが続いている」という相談を受けました。市役所に問い合わせたところ、センサーでホルムアルデヒド濃度を測定した結果、基準値を超える0.12ppmという結果が出たそうです(ちなみに、基準値は0.08ppmです)。これを受け、ご家族は非常に心配されていました。
改善策:換気の重要性と簡易測定の限界
この濃度であれば、しっかりと換気を行えば改善する可能性が高いとお伝えしました。また、CO2モニターを使うと、部屋の空気がこもっていないか確認しやすく、効率的に換気を行う目安になりますので、併せてアドバイスしました。
この例から見える問題点
注意が必要なのは、簡易センサーの測定結果に過信しすぎないことです。センサーは多くの物質に反応しやすく、特に湿度や温度の変化で結果が変わることもあります。あくまで、空気の変化を捉えるツールとして使うべきで、正確な状況を把握するには、正式な測定が必要です。
空環研に寄せられたセンサーの誤った測定結果に関する事例紹介
実は、空環研にはこれまでにもセンサーを過信して誤った結果が出た事例でご相談いただいた例があります。
事例①
あるご家庭では、リフォーム工事後に自前のセンサーを使ってホルムアルデヒドとトータルVOC濃度を測定していたところ、トータルVOCが基準値を大幅に超え、ホルムアルデヒドも2倍以上という結果が出ました。リフォーム後ということもあり、毎日毎日、その結果をみていると大変不安になります。しかし、正式な測定を行うと、ホルムアルデヒド基準内であり、TVOC濃度はセンサーの結果よりも大分低い結果でした。これは、TVOCセンサーが湿度などの外的要因に影響されやすいことや、ホルムアルデヒドセンサーが他の化学物質に反応していることが原因でした。
事例②
もう一つの事例では、リフォーム後に体調不良を訴えた方が管理会社に連絡し、空気調査を依頼しました。センサーを使った調査が行われましたが、使われたセンサーは工場などで有機溶剤を使っているところで使用されるような、高濃度の化学物質用のもので、また作業員の方がセンサーの扱いに不慣れだったため、結果としてほとんど何の物質も検出されず、「問題なし」という結論が出されてしまったそうです。このように、センサーの選択や操作ミスによって誤った結果が出てしまうこともあります。
センサーのメリットと正しい活用法
もちろん、センサーにも大きなメリットがあります。簡易的なセンサーは、手軽に空気の状態を把握しやすく、特に空気中の変化を敏感に察知することができます。また、CO2センサーは換気のタイミングを判断するのに非常に役立ちます。センサーの変化を参考にしながら、空気の質を日常的にチェックし、換気のタイミングをつかむためには非常に有効です。
ただし、繰り返し測定が可能なホルムアルデヒドセンサーやTVOCセンサーで正確な測定ができるものはほとんどありません。だれか知っていたら教えてください。前述のように、センサーは外的要因に影響を受けやすいため、正確な汚染状況を判断するためには、最終的には正式な測定方法を併用することが重要です。
正しい室内空気の測定方法
こういった問題を避けるためには、正式な空気測定が重要です。ホルムアルデヒドやその他の揮発性有機化合物(VOC)を正確に測定するためには、アクティブサンプリングやパッシブサンプリングを行い、質量分析装置で検査する方法が最適です。これにより、センサーの誤差を避け、正確な空気質の状態を把握することができます。
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まとめ
リノベーション後の住宅では、特に室内空気の質に注意が必要です。センサーは手軽で便利なツールですが、正確な測定には限界があり、正式な方法を併用することが大切です。ホルムアルデヒド濃度が基準値を超えている場合でも、換気や適切な対策を行うことで、健康リスクを軽減できることが多いです。
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