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猛暑で急増するカビ問題、高断熱高気密住宅の落とし穴_空環研通信2024年10月号 

今年の夏は非常に暑かったですよね。この暑さの影響で、壁の裏で「夏型結露」が発生し、その結果カビが生えたという話を耳にしたことはありますか?私の知り合いの中にも、壁の裏に大量のカビが発生し、手が付けられない状態になったという例がありました。それだけではなく、他にも同じような話を複数耳にしており、さらに人づてに多くのケースがあると聞いています。

特に、高断熱・高気密の住宅では、なぜかカビが発生しやすくなっているんです。今回は、そのカビについて、基本的な部分に触れながら、「カビって一体何なのか?」「どんな場所に生えやすいのか?」そして「カビが生えにくい環境とはどういったところなのか?」といった点をまとめてみました。

14分動画はこちら:https://youtu.be/IsFZgAy2KAA

 

カビとは何か?

皆さん、カビは目にはしていますが、実はその実態はあまりよく分らない方が多いと思います。「カビって何だと思いますか?」と聞かれて、説明するのは難しいですね。

カビというのは「黴菌(ばいきん)」という言葉にもあるように、「黴」という字がカビを指しており、「菌」は雑菌や病原菌を指すものです。目に見えない微生物の一部を「黴菌」と総称しています。

カビは環境中の表面で増殖する性質を持ち胞子を作るのが特徴的です。一方で病原菌などは生物の体内で増殖することが多く、カビよりもさらに小さく構造も単純です。

 

カビとは

まとめ:カビとは小さな微生物で、湿った場所で増えるものです。胞子という粉のようなものでどんどん広がっていきます。カビと菌は微生物という点で似ていますが、カビは主に外の表面で増え、病原菌は体の中で増えることが多いです。

 

カビの影響と「良いカビ」と「悪いカビ」

住宅内におけるカビがどのような影響を与えるか、そして「良いカビ」と「悪いカビ」の違いについて考えてみましょう。悪いカビの代表的な例として、エアコンやお風呂、室外機などに黒く生えているカビが挙げられます。見ただけで咳き込みそうな感じがしますよね。でも、これは「悪いカビ」の一種です。

一方、良いカビもたくさん存在します。例えば、お酒を作るときに使われる麹菌(こうじかび)や、醤油や味噌などの発酵食品に関わる酵母菌(こうぼきん)がその例です。これらもカビの一種で、私たちの生活に役立っています。

 

カビが発生する条件

カビの発生条件n

カビが発生するためには、以下の3つの要素が揃う必要があります。

  1. 水分
    これが最も重要な要素です。カビは水分を必要としており、湿気が多い場所で繁殖しやすくなります。
  2. 栄養
    カビは何でも栄養源にして増殖します。たとえば、プラスチックやホコリ、油なども栄養源となるため、表面が汚れていればどこでもカビは生えやすいです。
  3. 温度
    カビは25〜30℃の温度で最も活発に繁殖します。特に住宅の中では、これらの条件が揃いやすい場所が存在します。

カビが生えやすい場所とその対策

では、カビが生えやすい場所とその対策について考えてみましょう。

  • お風呂や洗面所
    ここは水分が豊富なため、カビの温床になります。使用後に換気や拭き取りを行い、湿気を減らすことが重要です。
  • エアコン内部
    エアコン使用後に送風運転や換気運転を行うことで、内部を乾燥させ、カビの発生を防ぐことができます。
  • ホコリのたまりやすい場所
    ホコリはカビにとって栄養源となりやすく、水分と結びついてカビが繁殖します。特にホコリが空気中に舞い上がると、私たちがその胞子を吸い込んでしまうため、定期的な清掃が必要です。

 

住宅内でよく見られるカビの種類

住宅内でよく見られるカビには、黒カビ、青カビ、麹カビ、赤カビなどがあります。

  • クロカビ
    壁や窓枠、タイルの目地などに生えるもので、見たことがある方も多いでしょう。非常に目立ちやすいカビです。
  • アオカビ
    柑橘類やパンに生えることが多いカビで、押入れや畳にも発生します。
  • コウジカビ
    発酵食品に関わる良いカビですが、自然素材の家具や畳にもつくことがあります。
  • アカカビ
    台所の排水口など、水分が多い場所に生えることがあり、一度は見たことがあるかもしれません。

カビの健康への影響

ほとんどのカビは人間にとって危険ではありません。誤ってカビたみかんを食べた方も多いと思います。それでも、体調が悪くなることはほとんどありません。また食品に生えたカビと比べ空気中のカビはごく微量です。

カビの胞子は空気中に漂い、アレルギーや呼吸器の問題を引き起こすことがあります。特に、エアコンに生えるカビは酸っぱい臭い(微生物由来のVOC、MVOC)を発し、その臭いが不快感や体調不良を引き起こすこともあります。

また、「ブラックモールド」と呼ばれる黒カビ(スタキボトリス)は非常に危険で、重症の場合には頭痛や倦怠感、呼吸障害を引き起こすことがあります。ただし、くろがねやすべてが有害なわけではありません。このようなカビは水害や配管の水漏れなどの湿気が原因で大量発生時に発生する確率が上がるため、カビの大量発特には特に注意が必要です。

 

結露とカビ

高断熱・高気密住宅では、内部結露が発生しやすく、それがカビの大量発生の原因となります。結露が発生した場合には、早めに対策を取ることが重要です。例えば、窓の結露をこまめに拭き取ったり、適切な換気を行うことでカビの発生を防ぐことができます。

高断熱高気密住宅のカビのリスクについては今後とりあがる予定です。

 

まとめ

カビは私たちの周りに常に存在していますが、大量に発生させないことが最も重要です。特に、高断熱・高気密住宅では結露が発生しやすく、カビのリスクが高まるため、水分管理を徹底し、結露できるだけ起こさせないような湿度コントロール、家づくりが必要です。

特にホコリは隠れたカビ増殖ポイントです。こまめな拭き掃除や埃そうじをすることで、健康的な住環境を維持しましょう。

 

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  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の124種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

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