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シックハウス対策は新時代へ:「空気環境改善研究所」の挑戦

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私たちが直面する室内環境問題は絶えず変化しています。2000年前後にシックハウス症候群が社会的な問題として注目されて以来、安全な室内環境を確保するための取り組みが進められてきました。しかし、令和という時代の変化と共に新たな問題が浮上しており、これに対応するためには更なる研究と技術の開発が必要です。令和の時代にふさわしいシックハウス対策を提供し、健康な生活空間を守るために、「空気環境改善研究所」は積極的に問題に取り組んでいます。

 

この記事のまとめ

空気環境改善研究所のきっかけは石川県で起きたシックハウス問題です。石川県のある医師が自分の家族全員がアレルギーや化学物質に敏感であることから、シックハウス対策を施した住宅の建設を依頼しました。使用されたのは無垢材と漆喰で、見た目には自然素材をふんだんに使用した健康的な住宅でした。

しかし、実際にはシックハウス症候群の症状が発生しました。詳細な検査の結果、室内濃度指針値物質は基準値以下でしたが、トータルVOC(総揮発性有機化合物)の検査で、指針値物質以外の空気中の化学物質の総量が高濃度であることが判明しました。

このシックハウス問題は従来のシックハウス症候群対策では防ぐことは出来ませんでした。私たちの生活空間を守るためには、常に進化し続ける問題に対応する必要があります。空気環境改善研究所では室内濃度指針値の代替物質によるシックハウス問題の発生を防ぐこと、またこれらの代替物質に対応するための対策方法を提案するために設立されました。

新たな化学物質に関するリスク評価、そして公衆衛生の観点からの室内環境管理方法の提案まで、幅広く活動を行っていく予定です。また、単に技術的な解決にとどまらず、社会全体での意識改革も求められます。一般の人々に対する教育活動も積極的に行い、健康で快適な室内環境の実現を目指しています。

 

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新たなシックハウス問題の浮上

21世紀に入り、シックハウス問題への対応として、有害な化学物質を含む建材の使用が減少し、室内空気質の改善が進められました。しかし、この成功は新たな課題をもたらしました。平成の後半期に入ると、従来の室内濃度指針値で管理されている物質以外にも、室内環境を害する新たな化学物質が問題として浮上し始めました。

シックハウス問題に関する検討会で取り上げられた石川県のお医者さん宅の事例

この新たなシックハウス問題は、特に自然素材を使用した住宅建設で顕著になりました。例えば、石川県のある医師が自分の家族全員がアレルギーや化学物質に敏感であることから、シックハウス対策を施した住宅の建設を依頼しました。使用されたのは無垢材と漆喰で、見た目には自然素材をふんだんに使用した健康的な住宅でした。しかし、実際にはシックハウス症候群の症状が発生しました。詳細な検査の結果、室内濃度指針値物質は基準値以下でしたが、トータルVOC(総揮発性有機化合物)の検査で、指針値物質以外の空気中の化学物質の総量が高濃度であることが判明しました。

この事例は、自然素材であっても、使用される溶剤や接着剤、または材料自体が放出する化学物質によって、新たなタイプのシックハウス症候群が発生するリスクがあることを示しています。従って、見た目の自然さや伝統的な建材の安全性だけに依存することなく、室内空気質を総合的に評価し、管理する必要があるという認識が広まりました。

この問題の根本には、新たな化学物質や建材の使用による未知の影響があります。現在の室内濃度指針値やシックハウス対策では対応できない新たな化学物質による健康リスクを正確に把握し、管理するためには、持続的な研究と指針の更新が必要です。

 

令和のシックハウス対策

新たなシックハウス問題の浮上に対応するため、「空気環境改善研究所」をはじめとする専門機関では、現代の室内環境に適した新しい対策が模索されています。これらの対策は、従来の室内濃度指針値に加え、室内空気中の化学物質の総量や、新たに問題となる室内濃度指針値物質の代替の化学物質に焦点を当てたものです。

 

代替物質の検討と選定

新たなシックハウス問題への対応として、建材や家具に使用される物質の選定においては、代替物質の検討が重要となります。これには、建材や家具の製造過程で使用される化学物質に対する厳格な基準の設定、および環境に優しい素材への代替が含まれます。例えば、従来の化学物質を放出する可能性のある接着剤や塗料を、より安全な物質に置き換えることが考えられます。

 

継続的な監視とTVOC測定による評価

室内空気質の維持には、継続的な監視と評価が不可欠です。これには、室内の化学物質濃度の定期的な測定、新たに識別された化学物質に対するリスク評価、そして室内濃度指針値の定期的な見直しと更新が含まれます。このような取り組みにより、室内環境の安全性を継続的に保証し、新たなリスクに迅速に対応することが可能になります。

室内濃度指針値の代替物質の検出が可能な「エアみる」を使用した空気測定方法は、現在もっとも安価で簡単かつ詳細な測定方法です。空気環境改善研究所では、この方法を使った室内空気管理を推奨しています。通常のシックハウス検査ではわずか6種類の化学物質のみを測定しているにすぎません。石川県のお使者さんの事例からも、代替物質の把握が特に重要なのです。

この先進的な測定技術を活用することで、従来の方法では見過ごされがちな室内環境のリスクをより正確に把握することが可能になります。これにより、シックハウス問題へのより効果的な対策を講じることができるようになります。継続的な監視と評価は、室内環境を健康で安全に保つための重要なステップであり、新たな技術の活用がその実現を支援します。

 

空気の重要さを伝えたい!!

これから家を建てる一般の方やリフォームを検討中のかた建築業者、設計者に対する室内空気の最新情報の発信も重要な対策の一つです。安全な室内環境を実現するためには、シックハウス症候群の原因となる化学物質に関する正しい知識と、それらを避けるための具体的な方法を広く伝える必要があります。これにより、消費者が健康に配慮した選択をすることを促し、業界全体での意識の向上を図ることができます。

 

まとめ:現代の空気環境問題と「空気環境改善研究所」の役割

我々が直面する室内環境問題は、時代と共に進化し続けています。2000年前後に注目されたシックハウス症候群は、有害な化学物質が原因とされ、これに対する対策が進められてきました。しかし、令和の時代に入り、新たな課題が浮上しています。これらには、従来の指針値に含まれない新たな化学物質の出現や、自然素材を使用した住宅でも発生するシックハウス症候群などがあります。これらの問題は、より複雑で多様化しており、一筋縄ではいかない特徴を持ちます。

このような背景の中で、「空気環境改善研究所」の役割は極めて重要です。研究所では、現代の室内環境における新たな問題に対応するための研究を行っています。特に、令和のシックハウス症候群に見られる新たな化学物質に関する研究や、それらを防ぐための建材や対策技術を持つパートナーづくり、室内空気質の維持管理方法のノウハウの共有などです。

令和の時代において、私たちはより健康的な生活環境を求めています。そのためには、新たなシックハウス問題に的確に対応し、よく眠ることができて、アレルギー症状が改善し、住む人が毎日生き生きと暮らしてける本当の健康の維持ができように研究活動を推進していきます。

  • この記事を書いた人

空環研_石坂

空気環境改善研究所代表理事 石坂閣啓(イシザカタカヒロ) 三浦工業株式会社入社後、三浦環境科学研究所に配属 その後愛媛大学に出向、大学院農学研究科の環境産業科学研究室の助教を経て独立。 室内中の100種類以上の化学物質が検出可能な「エアみる」を使った空気測定を使って令和のシックハウス対策に取り組む 専門:室内空気中の化学物質汚染

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