「シックハウス対策には換気が大切」とよく言われます。
特に最近の高断熱・高気密住宅では、24時間換気システムが当たり前のように導入されています。
中でも「第1種換気」や「第3種換気」と呼ばれる方式は、住宅の密閉性を保ちながら外気を取り込み、排気するために設計されています。
このような全熱交換型や強制排気型の換気は、「常に空気を入れ替えているから安心」と思われがちです。
しかし、近年の研究や実例から明らかになってきたのは、換気そのものがシックハウスの原因を引き起こす可能性があるということです。
■ 換気で負圧が起こるリスク
強制排気タイプの換気システムでは、室内の空気が勢いよく外へ排出されることがあります。
このとき、給気が不十分だったり、計画的なバランスが取れていないと、室内の気圧が下がり「負圧」となってしまうのです。
負圧とは、外気よりも室内の気圧が低くなる状態です。
すると、壁の隙間や天井、小屋裏などから、建物内部に空気が逆流してくるようになります。
この現象を**「換気の逆流現象」**と呼びます。
■ 汚染空気の逆流という落とし穴
問題なのは、逆流してくる空気が必ずしも「きれいな空気」ではないという点です。
実際には、小屋裏や壁内に滞留している湿気を含んだ空気や、建材に含まれる化学物質(代替VOC)などが混ざっている可能性もあります。
換気をしているつもりが、かえってシックハウス症候群のリスクを高めているというケースも報告されています。
■ 換気設計は「量」より「質とバランス」
大切なのは、「換気していればOK」という発想ではなく、どう換気するかという視点です。
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換気風量は住宅の気密性能に対して適切か
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給気と排気の位置は計画的か
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壁体内や天井裏の空気の流れが想定されているか
こうした空気の動線と圧力バランスを意識した設計・運用が、真に健康的な室内空気環境につながります。
■ まとめ:換気の落とし穴を理解しよう
高断熱・高気密住宅では、シックハウス対策として換気は必要不可欠です。
しかし、設計や運用を誤れば、その換気がかえって室内空気を汚染する逆効果になってしまうこともあります。
「換気=安心」ではなく、「空気の流れと圧力のコントロール」があって初めて、健康的な住環境が実現できるということを、ぜひ覚えておいてください。
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