この記事で伝えたいこと
建材選びが空気選び。
空気選びが健康選び。
健康で快適な住まいを目指すなら、床や壁などの素材だけでなく、完成した住宅の空気まで確認することが大切です。
健康な家を求める人は約6割!
住宅選びで、皆さんは何を重視するでしょうか。
NEXER Groupと飛鳥住宅による全国男女500人を対象とした調査では、住宅の価格の安さよりも健康・快適さを優先したい人が61.6%という結果になりました。
また、健康に良い家の条件として挙げられた項目には、次のようなものがあります。
- 風通し・換気が良いこと:51.8%
- 空気がきれいであること:45.0%
- 室温が安定していること:38.8%
- 採光・日当たりが良いこと:37.0%
高断熱・高気密化による室温の安定だけでなく、換気や空気のきれいさも健康住宅の重要な要素として認識されていることがわかります。
でも、普段から空気を気にする人は約3割
一方、同じ調査で普段の生活で室内の空気の質が気になる人は33.2%でした。
健康や快適さを重視する人は多いものの、日常生活の中で空気の質を意識する人は約3人に1人です。
これは、私たち空気環境改善研究所にとって非常に興味深い結果です。
住まいの健康を考える際、空気の重要性を十分に伝えられているのでしょうか。
なお、61.6%と33.2%は別々の設問への回答です。健康を重視する人が空気を軽視していると直接証明されたわけではありません。
空気の質は、目に見えるものだけではありません。
カビやニオイ、湿気などの問題は比較的気づきやすい一方、建材や家具などから放散する化学物質は、目で見たり、ニオイだけで判断したりすることができません。
新たな調査で判明!建材と健康の関係
今回、もう一つ重要な調査結果が公表されました。
2026年10月3日、NEXER Groupと丸和建設が、注文住宅を購入した経験のある全国男女140人を対象に行った「住宅に使われる素材へのこだわり」に関する調査です。
この調査では、床や壁などの建材と健康への意識について、興味深い結果が示されています。
建材選びに関する注目の調査結果
- 52.8%:住宅に使われる素材を重視した人
- 35.7%:壁材を選ぶ際に健康面や空気環境を意識した人
- 64.3%:住宅素材が家族の健康に影響する可能性を詳しく、または何となく知っている人
- 85.8%:今後、家の素材を選ぶなら健康を重視したい人
対象:注文住宅購入経験者140人。調査期間:2026年9月18日~24日。
ここで特に注目したいのは、素材が健康に関係することを知っている人は64.3%いる一方、壁材を選ぶ際に健康や空気環境を意識した人は35.7%だったという点です。
さらに、今後は健康を重視して建材を選びたいという人が85.8%に達しています。
これらの結果から、素材と健康の関係について一定の認識はあるものの、それを実際の建材選択に反映することには、まだ課題があると考えられます。
なぜ「建材選び」が「空気選び」なのか?
私たちが住宅の室内空気を測定していると、さまざまな化学物質が検出されます。
それらの発生源の一つが、住宅を構成する建材です。
床材によって変わる空気の成分
例えば、無垢材の床では、木材に由来するテルペン類などの揮発性成分が検出される場合があります。
一方、合板やシートフローリング、表面の塗装、接着剤などからは、製品によって異なる種類のVOCが放散する可能性があります。
無垢材だから化学物質が出ないわけでも、合板だから必ず有害というわけでもありません。
重要なのは、その素材から何が、どの程度放散されるのかを考えることです。
壁材や接着剤も空気の質に関係する
壁の仕上げ材についても同様です。
ビニールクロス、漆喰、珪藻土、和紙クロスなど、素材によって使用される原料や添加剤が異なります。
さらに、施工に用いる接着剤や下地材の影響も考慮する必要があります。
「自然素材」という名称だけで安全性を判断するのではなく、仕上げ材・添加剤・接着剤まで含めて確認することが大切です。
建材選びは、室内空気をつくる大切な選択です。
建材は住宅の見た目や肌触りを決めるだけでなく、室内空気中の化学物質の構成にも影響する可能性があります。
健康への不安がある人は空気をより重視する
NEXER Groupとトラストホームによる別の調査では、本人または家族に喘息・アトピー性皮膚炎などの症状経験がある100人を対象に、住まいの空気について質問しています。
その結果、84.0%が住宅選びで室内空気の清潔さや化学物質の少なさを重視したいと回答しました。
また、86.0%が住まいの空気環境は症状に影響していると考えています。
健康上の不安がある人々にとって、空気の質が重要な住宅選択の要素になっていることがうかがえます。
ただし、これは回答者の認識を示した調査であり、個々の健康症状が住宅内の化学物質によって引き起こされたことを証明するものではありません。
また、今回紹介する3件の調査は対象者や設問が異なるため、割合を直接比較して因果関係を判断することはできません。
令和の家づくりには、令和のシックハウス対策を
日本の住宅では、2003年の建築基準法改正などを通じて、シックハウス対策が進められてきました。
しかし、その後も住宅は変化しています。
高断熱・高気密化が進み、建材や接着剤の種類も多様化しました。
高断熱・高気密住宅は、適切に換気されていれば、それ自体が空気汚染の原因となるわけではありません。しかし、換気が不十分であれば室内で発生した化学物質が蓄積する可能性があります。
さらに、従来から検査対象となってきた化学物質以外にも、室内空気中に存在する多様なVOCを考える必要があります。
約20年前に整備された対策を、現代の住宅環境に合わせて発展させていくこと。
それが、空気環境改善研究所の考える令和のシックハウス対策です。
エアみる法で、建材の選択を空気のデータで確認する
空気環境改善研究所では、室内空気中124種類以上の化学物質を検出対象とする「エアみる法」を普及しています。
従来の6物質を中心としたシックハウス検査だけでは捉えきれない、さまざまなVOCを確認するための測定方法です。
測定によって、室内空気中の化学物質の種類や濃度を把握し、使用した建材との関連を検討することができます。
ただし、空気測定の結果だけで、特定の建材が発生源だと断定できるわけではありません。建材の使用状況や換気条件などを併せて検討する必要があります。
建材選び → 空気の確認 → 健康を考える家づくり
建材の特徴を理解して選び、完成した住宅で実際の空気を測定する。その情報を、健康で快適な住まいを考えるための判断材料として活用していきます。
「空気の見える化」が住宅会社の差別化につながる
空環研が大切にしているのは、測定結果の良し悪しだけではありません。
そもそも、現代の室内空気汚染に目を向け、建材の選択や換気を工夫し、完成した住宅の空気を確認する。
この取り組みを実践していること自体が、住宅会社の強みになります。
その実践事例の一つが、愛媛県松山市のアーキテクト工房 Pure様です。
同社は、TVOC測定を標準仕様として取り入れ、室内空気の質を客観的に確認する家づくりに取り組んでいます。
AI検索で「松山市 空気がきれい 新築住宅」と調べた際には、同社が候補として紹介され、その理由の一つとしてTVOC測定の標準仕様化が言及される事例も確認しました。
AI検索の結果は検索環境や時期によって変化しますが、住宅会社が空気測定への取り組みを発信することが、自社の特徴を伝える一つの方法になり得ることを示しています。
実際の取り組みをYouTubeで紹介
アーキテクト工房 Pure様の事例をもとに、空気の見える化が住宅会社の強みになる理由を解説しています。
まとめ|建材選びが空気選び、空気選びが健康選び
今回の3つのアンケートから、健康な住宅への関心が高い一方で、建材や空気の質について実際の選択や日常的な確認につなげることには課題があると考えられます。
住まいの健康を考える際には、耐震・断熱・気密などの住宅性能とともに、建材から放散する化学物質や換気、室内空気の状態にも目を向ける必要があります。
建材を選ぶことは、家の空気を考えること。そして、家の空気を考えることは、家族の健康を大切にすることにつながります。
空気環境改善研究所は、これからもエアみる法による空気の見える化を通じて、客観的なデータに基づいた健康住宅づくりを支援してまいります。
参考資料・調査出典
調査① 住まいの空気・素材と健康
株式会社NEXER Group・飛鳥住宅による共同調査(2026年、全国男女500人)
調査② 喘息・アトピーと住まいの空気
株式会社NEXER Group・トラストホームによる共同調査(2026年、症状経験者等100人)
調査③ 住宅に使われる素材へのこだわり
株式会社NEXER Group・丸和建設株式会社による共同調査(2026年、注文住宅購入経験者140人)
※本記事は、各調査の結果をもとに空気環境改善研究所が独自に考察したものです。3調査はいずれも意識調査であり、化学物質濃度の実測や健康影響の因果関係を直接検証したものではありません。
ご相談は公式LINEから受け付けています。

