2024年7月21日に浜松PFAS汚染を考える会主催の「小泉昭夫先生のPFAS学習会」にオンラインで参加しました。
PFAS(ピーファス)に関する情報とその影響について丁寧に説明して頂きました。勉強会では、全国調査の問題点、健康影響、WHOの認定と水道水基準、スーパーファンド法案の重要性と必要性、泡消火剤の使用状況と汚染の実態、残留PFASと管理方法、環境中のPFAS濃度の変動と血液中のPFAS濃度の汚染指標としての重要性、農業への影響および土壌汚染の調査の重要性など、ボリュームが大きかったので、今回は全体の概要と分析項目について詳しく見てみます。それ以外の内容は次回以降で取り上げます。
PFAS分析の概要と問題点
PFAS分析の概要
現在PFAS分析の調査対象はPFOAとPFOSの2物質です。
WHOの認定と水道水基準
2023年11月、WHOはPFOAをIARCのグループ1(人への発がん性物質)に、PFOSをグループ2(おそらく人に発がん性がある)に分類しました。アメリカでは2020年4月にPFOSとPFOAの合計4ナノグラム以下を水道水の規制に決定し、日本でも今年中に基準が決定される予定です。(現在は暫定目標値という形でPFOAとPFOSの合計値50ng/Lが設けられています。)
PFOAとPFOSの調査でわかること
PFOSとPFOAはレガシーPFAS、またはターミナルPFASと呼ばれる残留PFASの代表です。PFASは1万種類ほどありますが、環境汚染している全体の50%がこれらの残留PFASです。残りの50%は先駆体PFASと特定不明なPFASです。調査では環境中に残留しているPFOAやPFOSを調べていますのでそれらと同等のPFASが環境中に存在する可能性があるということです。
環境中のPFAS汚染を知るには残留PFASはもちろん、ノンターゲット、前駆体、全PFASを包括的に測定する方法で汚染の動態を明らかにして、管理していくことが重要です。
日本のPFAS調査の問題点
PFASにはレガシーPFASと呼ばれる残留しやすいものがあり、PFOSやPFOAがその代表例です。この2物質は残留性が高いことから、過去に使用されたものが環境中に残留しているもの、先駆体PFASの酸化物や分解物としてPFOAやPFOSが生成され、それが残留してる場合があります。
特にPFOSは泡消火剤に含まれ、自衛隊や米軍基地周辺で多く見られます。一方、PFOAは工場周辺で高い濃度が検出されるという特徴があります。
PFOSとPFOAは別々に調査を!!
現在の全国調査では、PFOAとPFOSの合計値をまとめてしまうことで、汚染が産業由来なのか基地由来なのかが分かりにくくなっています。
この問題を解決するためには、PFOAとPFOSを個別に測定することが必要です。また河川や井戸水などの環境中のPFASは水位によって濃度が変わることがあります。そこで血液中のPFAS調査が汚染源の特定に有効だと考えられています。
特に7種類のPFASの濃度を測定することが重要であると小泉先生は話していました。
7つのPFAS
- PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
- PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
- PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)
- PFNA(ペルフルオロノナン酸)
- PFDA(ペルフルオロデカン酸)
- PFUnDA(ペルフルオロウンデカン酸)
- MeFOSAA(メチルペルフルオロオクタンスルホンアミド酢酸)
現状では、PFOSとPFOAのみが監視されていることが多いですが、他のレガシーPFASも測定対象に加えた7物質の測定が重要です。
PFOAやPFOSの代替物質
代替物質としては、PFASフリーの物質と短い鎖のPFASの2つの方向性がありますが、短い鎖のPFASの健康影響についてはまだ不明確です。従って、これらの代替物質の使用に際しても慎重な評価が必要です。
まとめ
PFOSとPFOAの合計値をまとめて測定する現行の方法では、汚染の発生源が特定しにくく、効果的な汚染対策が難しくなります。これらの物質を個別に測定し、さらにこれらを含む7つの残留PFASも包括的に調査することで、より正確な汚染状況の把握と対策が可能となります。PFAS問題の解決には、科学的な調査と技術革新が不可欠です。
そして、PFAS規制が緩くならないように、多くの人が関心を持つことが重要です。
今後、PFASの管理や規制についてパブリックコメントが募集されることがあると思います。多くの人が関心をもってこの問題に向き合っていってほしいと思っております。もし、この記事を参考に、基準の厳格化や調査対象物質の追加などの要望を挙げてみてください。
この記事のURLは https://kuukanken.jp/pfas-4/
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